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自宅で産むということ

· お産

昭和30年代後半以降

自宅と施設で生まれる分娩数が逆転しました。

昭和30年代前半に生まれた姉たちは自宅で

30年代最後の年に生まれた私は施設でしたが

助産師のみの介助で生まれています。

 

ここ数年

東京都の(いや全国の)自宅分娩数が激減しています。

そうすると自宅分娩を取り扱う助産師も

一人また一人と廃業していき、自宅で産みたいお母さんたちが

助産師がいなくて困っているようです。

 

助産師が取り扱う自宅分娩は

Planned Home Birthと言って

なりゆきで家で産んでしまう自宅分娩とは違います。

 

助産師から自宅分娩のメリットデメリットの説明を受け、

理解したというお母さんと家族の合意があり

医療機関健診と助産師による自宅での健診を受け

自宅で産むためのガイドラインをクリアして

妊娠が順調に経過した場合に初めてオッケーがでます。

ですので意外とハードルが高いです。

自分が産みたいからと言って産めるものではありません。

あくまでも自宅に出向いてお産をお手伝いする

助産師との合意があって成立するものです。

 

自宅分娩を介助する助産師も

事前に自宅にお産に必要な機械や

お産の進行を監視するためのモニターや

赤ちゃんが異常になった場合の蘇生に関わる道具類などを搬入し

37週以降はいつでも駆けつけることができるよう

他の仕事を調整し毎日24時間待機のモードになります。

自宅分娩を取り扱う助産師の緊張感も一際です。

 

この、助産師にとっては拘束期間と緊張が強い自宅分娩ですが

とことん相手に合わせる産み方に魅了されて

自宅分娩から開業をスタートする助産師も少なくありません。

私もその一人

自宅でのびのびと

誰にも気兼ねなく自分の体の声に耳を傾けて

家族の喧騒の中で

自分のお気に入りの場所で

妊娠の始まりの布団の上で

子どもたちが見守る中で

座って、立って、横たわって、動いて、、、、

実に様々なお産のスタイル

 

東京は医療機関との搬送のネットワークシステムも整っていますし

医療機器類もコンパクトなものになっています

妊娠中には大きな病院で胎児診断も受けることができ

生まれる前には実に多くのことが分かるので

赤ちゃんの心臓の奇形等の心配も軽減します。

 

住宅環境も良く

もしかして昔より安全に自宅で産める環境が整っていると

私は思うのですが

自宅分娩を望む女性が少なくなり、

自宅分娩を取り扱う助産師も減っていて寂しいなぁと

このごろ思います。