地域で助産師が必要とされている、と実感する業務に
母乳育児に関する相談やおっぱいのケアがあります。
私は妊娠・出産を今も地域でお世話させていただく視点から
母乳育児の助言やおっぱいのトラブル対処も長年させていただいています。
しかしながら、未だにおっぱいのケアや助言はとても難しいと感じ
お母さんたちと一緒に悩んだり、迷ったり、困ったりしている日々です。
とくに乳腺炎について
おっぱいの中の様子がはっきりと見えないので
原因を特定できない、、、いうこと以上に
痛みや発熱というつらい身体症状があっても
赤ちゃんの栄養なので授乳を継続しなければならなく
おっぱいを安静にできないので
スムーズに回復まで持っていくことが難しいと感じています
また、薬の母乳成分への影響を考えると
安易に医療機関の受診を促すのも、お母さんと一緒にためらいます。
最近は出産後に長らく痛み止めや抗菌剤の処方を受けているので
薬の効きが悪い人も多く、受診のタイミングも悩ましいのです。
39度まで発熱し乳房が赤く、腫れてしまったけれど
朝には解熱したのでとおっぱいのケアのため来院したママ。
マッサージをすると炎症後にしばしば見られる黄色の粘稠性の強い膿汁がたくさん。
するとおっぱいの赤く炎症している部分が瞬く間に改善しました。
けっこうな熱でしたが、もう大丈夫だろうと見送った玄関で、あれっ?
なんだか、顔色が悪いなあ、、、
もしかしてまた、熱が出るかも、、、と気になっていたところ、
夜間に再び発熱し、同様の症状が再発したと翌日お電話いただきました。
しまった!
高熱は手持ちの消炎鎮痛剤をすでに内服していたので
一時的に症状が収まっていただけだったのでしょう。
ケアをした時の感触では炎症部位は比較的大きく、
全身状態は未だ体の中に炎症を抱えている具合の悪そうな表情でした。
そして、お子さんが入院中で母乳を吸わすことができない環境で
おっぱいが鬱滞する状況だったのです
おっぱいの鬱滞は治癒に必要な血流を阻害します。
初回でおっぱいのケアをした時に
あらゆる要素をちゃんと判断の材料に加えると
抗菌薬をもらってしっかり治すよう助言をすべきだったのです。
翌日お電話で夜間の症状の報告を受けてすぐに、
医師から抗菌薬をもらって内服するようお勧めしました。
ただそれだけでは感染性の乳腺炎は回復しないので、
解熱して乳房の赤みが改善した段階で
炎症した場所から排泄される分泌物をしっかり出しきり
炎症周囲の母乳を排乳するためのケアに来所していただきました。
初回の来所から5日間で3回のケアで
すっかり炎症もしこりも改善し
良いかんじのおっぱいになって、退院する赤ちゃんを
迎えることができたようで、安心しました。
乳腺炎
初期対応はとても大切です。
助産師のおっぱいのケアはあってもなくてもよいが
ただ、抗菌剤や抗炎症剤だけの処置よりは
ケアを受けた方が回復までの日数を短縮できるというデーターを
文献で読んだことがあります。
私的には
日数の短縮と合わせて、熱や痛みを抱えながらも
授乳を続けなければならないママの気持ちに寄り添うという
精神的な要素がとっても大きいなぁと思っています。
それにしても、おっぱいのケアは難しいです。