「助産師さんたちっていも何かを待っていますよね」としばしば言われます。
そういえば、私たちいつも何かを待っているなぁ
37週まで順調に胎児が育つことを待ち
出産に向けて母体の心身が整うのを待ち、自然に陣痛が始まることを待ちます。
お産の進行に合わせ陣痛が強く、間隔が短くなることを待ち
子宮口が全開することを待ち、胎児の下降をを待ち
会陰が伸びて、切れずに赤ちゃんの頭が通過することを待ち
赤ちゃんの元気な産声を待ち、臍帯の拍動が止まることを待ち
子宮が早く収縮して胎盤が剥がれ落ちることを待ちます。
赤ちゃんの胎便や尿が出ることを待ち
赤ちゃんが上手に乳首に吸い付き母乳の分泌が開始するのを待ち
母乳で体重が増えるのを待ち、授乳のリズムが軌道に乗るのを待ちます。
もちろん、正常から逸脱しそうなときは待つことだけではだめです。
ちょっと手を加えたり、かけたり、異常だと思えばすぐに医療につなぎます。
搬送時には家族への説明・緊急処置と同時に
医療機関への連絡調整・救急車への手配など手際よく素早く対応しなければならないので
「待つこと」から「介入すること」へ関わりをチェンジします。
今回、出産直後から赤ちゃんがなかなか乳首に吸い付かずに苦労しているママ。
搾ったおっぱいとミルクを哺乳瓶で授乳することを続けて1か月。
最近、片方の乳首に少し、吸い付いてくれるようになったそう。
吸い付かないと母乳の分泌が減り、あっという間に乳汁の分泌止まってしまうところ
おっぱいが出続けているので、吸い付くようになりました。
沢山の助産師からのケアと母乳育児支援を得られる環境にあったこともありますが
毎日、あきらめずに搾乳を続けるママの努力が大きな要因だと思います。
「産後うつ」の予防に努力や苦痛を強いることはいけない風潮なので
あまり無理をしないで、楽に行きましょう!と私もつい言いがちです。
でも、やっぱり妊娠・出産・子育てに試練や苦労はつきもの
それを乗り越えるため、時には、頑張りや努力が必要ですし
努力するママを見守って、忍耐強く待つことのできる助産師でもありたいです。