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暖かい水の力で

· お産

助産院では促進剤、吸引、鉗子など

薬品や器械を使って分娩介助をすることはありません。

あくまでも自然の進みにゆだねます。

とは言っても、ただ黙って陣痛が強くなり、児頭が下がるのを

見守る訳ではありません。

強い陣痛が来るためには

ホルモンをたくさん出す必要があります。

子宮口が柔らかくなるホルモン、

子宮口が開くよう収縮を促すホルモン、

児頭が骨盤の中を回旋しながらおし拡げるホルモン

最後に押し出すホルモン

とにかく何種類ものホルモンがいい感じで分泌される必要があります。

ホルモンの分泌を促すために

体のリラックスや睡眠、保温が効果的ですので

お産の時は室温を高くしたり、

リラックスできるよう照明に気を配り、

小さな声で話しかけるなど環境にとても気を使います。

お産の始まりに寒いと訴える女性が

産む間際に汗だくになり、周囲に気を使わなくなると

最後の赤ちゃんを押し出すホルモンがドッとでて

こちら側の言うことを聞いてくれなくなると産まれます。

20年以上前に水中分娩が世界中でブームになりました。

フランス人医師が推奨し、日本でもちょっとしたブーム。

その医師の日本講演に私も出かけました。

水中出産に関する本も購入して勉強もしましたし、実践も経験しました。

私なりに理解したことは、水の中で産むことが目的ではなく

暖かい水の力を借りてリラックスしたり、

お湯の皮膚への刺激によるホルモンの分泌の促進効果が目的ではないかと。

ちょうど良いタイミングでお湯に浸かることができれば

分娩の進行を大いに助けることができるということ。

薬も器械も使えない私たち助産師でも活用できる分娩促進の方法です。

家庭のような環境の助産院では

分娩中にお風呂に浸かるということは大変なことではありません。

お湯の中にドボンと入れても問題ない胎児心拍を確認できるドプラーもありますので

暖かい水の力を借りた方が良さそうだなあと判断した時に

入浴を勧めることも少なくありません。

先日のお産

診察と陣痛の様子から、

もうあと数時間陣痛に耐えなければ

お産にならないなあと思っていたところ

ボソッと「早く産みたいなぁ」とつぶやくお母さんに

「お風呂に入ってみる?」とお湯に誘導

暖かい水の偉大な力が働きました!

ホルモンパワーのスイッチが入り

ダイナミックにお産が進んで赤ちゃんが生まれました

 

やっぱり暖かい水の力は偉大だ。