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待つ 熟す 動く

 

· お産

本日予定日の妊婦さん。

先週の健診では、赤ちゃんは背中を丸めてスタンバイ。

陣痛がぽんと始まればすぐに生まれそうですが。

陣痛始まりのお電話をひたすら、

昼も夜も携帯を握りしめて待ちます。

お母さんの体の準備ができるのを待ち、

子宮が熟してくるのを待ち、

赤ちゃんが体勢を整えるのを待ち、

そして、一番良いタイミングで陣痛が始まるのを待ちます。

予定日超えて二日後に、

晴れのお天気が雨模様に変わったその時、

陣痛が始まりました。

しっかりとした陣痛で順調に進みましたが、

あと少しのところでなかなか生まれません。

お母さんが座ったり、立ったり、横になったり

「どうして出てこないの?」

「違う、こっちだよ、そうそう」

そのうち、お母さんがお腹の中の赤ちゃんに声をかけ始めました。

赤ちゃんがどこにいるのか、どうすると進むのか、

お母さんが一番良くわかるのでしょう。

赤ちゃんと対話するお母さんの気が散らないように

赤ちゃんの心拍を確認しながら、黙って見守ります。

疲れて、ご主人に身を委ねた姿勢をとったところ、

グングン進み、さあ分娩です。

頭が出て、首に巻きついていた臍帯をまず外し、

肩周りにも一回巻いていたのでまた外し、

なんと、体にも一回巻きついていたのを外すと

赤ちゃんはとてもゆっくり生まれました。

ゆっくり羊水をしっかり吐き出しながら生まれますので、

第一呼吸はとてもスムーズで元気な産ぶ声が響き渡りました。

お母さんの胸の上に抱き上げられ、とても穏やかな表情の赤ちゃん。

「かわい〜」と兄貴たちに絶賛されていました。

生まれてくる赤ちゃんと子宮の収縮(陣痛)は

とてもチームワークが良いといつも思います。

赤ちゃんが苦しくならないよう、

間隔や強さを子宮が自律調整するからです。

赤ちゃんにとっての命綱の臍帯が

首に絡んでいたり、短かったり、胎盤の際に付着していたりすれば

子宮の収縮は赤ちゃんをいたわるように、

優しく、ゆっくり赤ちゃんを外に導きます。

もし、これ以上は難しいと赤ちゃんと子宮が判断すれば

収縮は止まります。

ゆっくりでも止まらずにちゃんと赤ちゃんが進んでくるようであれば、

一番母子ともに苦しい地点に来ると

収縮が一気に強くなって赤ちゃんがスルリと生まれる

そのタイミングがありますので、

お母さんとともに、その時を忍耐強く待ちます。