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やっぱり大切な臍帯

· お産,その他

以前、シンク下の扉に結ばれた紐で、

しばらくご機嫌よく遊んでいた幼児に出会いました。

赤ちゃんの時から紐好きで、しゃぶったり、撫でたり、結んだり

紐を与えていると、しばらく時間が持つとのこと。

もちろん、危なくない長さと、太さと、材質のもので

見守りながら、自由に遊ばせていたお母さんにも

感動しました。

楽しそうに紐で遊んでいる姿は見ている方の心も

和ませてくれます。

 

私も「臍帯」という「紐」にとても関心があります。

7月に胎盤と臍帯に関する著名な先生を招いて

「胎盤からみえる妊娠・出産」というテーマでご講演をお願いし、

勉強しました。

その後、これまで以上に出産後の胎盤、卵膜、臍帯に思いを寄せて

産後のお母さんとともに妊娠やお産の振り返りを

するようになりました。

 

8月出産の経産婦さんたち

最初のママは最後の最後の娩出に苦労されました。

体力のあるママでしたので、座ったり、立ったり、横向いたり

本当にアクティブに動いてくださって、

赤ちゃんの生まれる力を上手く活用して出産しました。

2回も臍帯が首に巻いていたなら仕方ないね〜と

ご自身の苦労以上に生まれた赤ちゃんを労っていました。

 

もう一人のママは、一度始まった陣痛が消えてしまい、

ご自宅で休んで再び再開してから来所しました。

しかし、なかなか強く、短くならない陣痛にご本人はもちろん

上の子たちも忍耐強く待ちます。

静かに、弱く、時間をかけて

少しづつ優しく強くなる陣痛で生まれた赤ちゃんの臍帯は

伸びきった長さで40センチほど。

つまり、お腹の中にいた時は30センチくらいだったのでしょう。

 

心音が悪くなることは一度もなかったけれど

命綱としては細かったのでしょうか。

最初の3日は本当によく泣く赤ちゃんでした。

お母さんが「生まれた時のお臍が短かくて苦労したのかなぁ」と想像豊かに

「よしよし、大丈夫だよ」と根気強く、あやして関わったおかげで

恐怖は安心に変わったのでしょうか(これも想像豊か)

退院するときにはすっかり穏やかになって帰りました。

 

お腹の中にいたときと生まれる時

いろんな事情があるのですが

子宮は赤ちゃんを守り、赤ちゃんはちゃんとサインを出して

自分の命を守りながらでてくると思います。

もちろん、私たち助産師は

助けてくださいという

子宮と赤ちゃんからの訴えを見逃さないよう

しっかりと、安全かどうかを見極めて見守ることができるよう

日々、研鑽と訓練を怠らないようにしなければ。

 

ところで、

助産院の自然な出産の胎盤と臍帯に興味を持ってくださった先生

これからデーターを集めて

研究発表でもしましょうとお声がけくださいました。

先生とともにお産の傍ら

助産師仲間で胎盤計測値の入力作業にもとりくんでいます。